なぜ押印が廃止される流れになっているのか
令和2年12月28日、押印を求める手続の見直し等のための環境省関係省令の一部を改正する省令が交付・施行されました。
この改正は要するに、役所に提出する文書について今後できるだけ印鑑を不要にしようというものです。こうした改正がなされることになった理由として以下の2つがあげられています。
役所の手続きのオンライン化を進めるため
役所の手続きのオンライン化を促進することで、早くて便利な行政サービスの実現が期待されています。
しかし、そのためにどうしても障害となってしまうが押印です。押印は基本的には紙の上にするものなので、デジタル技術を使ったオンラインとは相性が良くありません。
そこで、押印を廃止しデジタル署名技術を利用することでオンライン化し、AIやロボットによる省力化を進め、早くて便利な行政サービスを実現しようというわけです。
新型コロナ対策にもなる
この改正がなされたころは新型コロナウィルスが猛威を振るっており、不要不急の外出を控えることとされていました。役所での対面申請も制限され、郵送申請やオンライン申請が推奨されました。こういったことも押印廃止の流れに一役買ったものと思われます。
どの押印が不要になったのか
押印を廃止するといってもハンコ文化は我が国に永く深く根付いたものですので、いきなり全てを廃止すると混乱する可能性があります。
そこで、最終的には押印の全面廃止を目指すとしても、 いきなり全てを廃止するのではなく、廃止できるものから廃止していこうということになりました。
押印が廃止された文書はいくつもありますが、産廃業関係で重要な書面としては以下の2つです。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の受領印
マニフェストの「受領印欄」が「受領欄」となり押印が不要となりました。
交付担当者欄の押印欄も削除が進んでいます。もっとも、交付担当者欄への押印にはそもそも法的根拠はなく、マニフェスト製造業者によっても押印欄が有ったり無かったりしていました。押さなくてもよい押印をずっと押していたわけですが、今回の改正で交付担当者欄の押印欄が完全になくなることを期待します。
誓約書(産廃収集運搬業許可申請書の添付書類)の申請者印
産廃収集運搬業許可申請書に添付する書類のひとつに「誓約書」というものがあります。これは、申請者及びその役員等が欠格要件(犯罪等を犯したため法律的に許可を得られない状態にある者)に該当しないことを誓約する書類です。
これまでは、「誓約書」に申請者の押印が必要でしたが、この改正で不要となりました。
これにより、産廃収集運搬業の許可申請書類には押印が全て不要となりました。
ちなみに、行政書士に依頼する場合の委任状についてですが、申請者の押印を要求する窓口としない窓口がバラバラで、しかも、同じ窓口でも担当者によって押印を要求したりしなかったりしますので申請者の押印はあった方が良いと思います。